需要があるかを確認する
デジタル・マーケティングをはじめる前に考えるべき戦略についてまとめていきます。はじめに、需要の確認です。検索ツールを使って、いかに需要を確認するかを考えます。
戦略とは、何をやらないかを決めることである。 マイケル・ポーター

戦略とは何か

戦略とは、何かをはじめる前に作る地図(ランドスケープ)です。事業をスタートしてから変更することが難しいものを、本書では戦略と定義しています。
戦略とは商品開発・事業開発の段階から充分に考慮すべきものです。商品を作り終わって「広告費はないので、なんとか検索で顧客を獲得できですか?」と言われても、難しいのです。
どのようにトラフィックを獲得するかは戦略であり、後から容易に変更できるものではありません。
1つのツールだけで足りるのであれば、戦略は必要ありません。Twitterのフォロワーを増やす方法、Googleのアクセス数を増やす方法……それらは単なる戦術であり、あとから学んだり、変更することが出来ます。
多くの企業におけるデジタル・マーケティングの課題は「どのように行うか」よりもむしろ、「何をやるべきか」という点にあります。
優先順位をどのように付ければいいのか。それこそが、多くの企業における、最大の問題です。まず、何をやればいいのか。その点が重要なのです。

本当にそれ、需要がある?

あらゆる企業にとって最大のリスクは、「誰もほしがらないものを作ってしまう」というものです。
ここで重要なのは、ニーズの考え方です。ニーズというと、あなたのサービスそのものを必要としている人のことを考えるかもしれません。
しかし、「ドリルを売るより穴を売れ」と言われるとおり、まず考えるべきは顧客が元から感じているニーズや現状への不満点です。
もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは『もっと速い馬がほしい』と答えていただろう ヘンリー・フォード
ヘンリー・フォードのこの言葉は正しいですが、この言葉をもって、顧客のニーズを考える必要がないというのは正しくありません。
顧客は常に「もっと早く移動できて、自分でコントロールできて、いちいち飼葉を必要としない」移動手段は必要としていたということです。
ディズニー(ピクサー)の映画を例に取りましょう。『モンスターズ・インク』は「色とりどりの怪物たちが会社を作る」というアイデア、『トイ・ストーリー』は「おもちゃが動き出す」というアイデア、『ズートピア』は「動物が平等に暮らす国」というアイデアで作られました。
それぞれのアイデアは突飛で奇抜ですが、「大人は考えさせられ、子供が見ても楽しい、家族全員が見ることのできる映画」というニーズは常に存在するので、大きく外すことはありません。
一般的に、もっともよいニーズの考え方とは、ある程度フォーカスされていながら、それでいて絞り込みすぎていないものです。
映画の様々なニーズ
    特定の映画を見るため
    家族で時間を過ごすため
    カップルのデートのため
このようにニーズを捉えると、「競合はどのようなエンターテイメントなのだろうか?」「アミューズメント施設に勝つためにはどうすればいいか?」というふうに、視野が広がります。映画という枠で捉えるか、大きなエンターテイメントの枠で捉えるかによって、戦略が大きく変わるのです。
ニーズといっても、当然様々な濃淡があります。
もう1つの典型例として、東京ディズニーリゾートを挙げてみましょう。
ディズニーほどのブランド力があれば、強いロイヤルカスタマー(つまり、大阪に住んでいても、USJではなくディズニーに行きたいくらいのファン)も多くいます。彼ら彼女らは、もっとも強いニーズを持った潜在顧客です。
次に強いニーズを持った潜在顧客は、テーマパークに行きたい人たちです。他のテーマパークと比較した上でディズニーリゾートに行くかどうかを決めるでしょう。
そして、もっとも薄いニーズが「遊びに行きたい」というニーズです。これは、さらに競合が多くなります。
基本的には、ユーザーのニーズが濃くなれば濃くなるほど、対象となる人数は減っていきます。逆に言うと、ユーザーの範囲を広げれば費用対効果は悪化するということです。
より広い範囲のユーザーにリーチしようとすると、効果が薄まっていくのがわかるのではないでしょうか。
マスに出そうとすると効果が悪くなる、というのは、ある意味当然のことです。ターゲティングが重要なのは、より絞られた人たちに対して施策を打つことで、費用対効果をよくすることが目的です。

ニーズに合わせたマーケティング

プロモーションを行う際には、顧客のニーズを推定しなくてはいけません。例えば、テレビCMを放送する場合、
鍵の修理サービスを挙げてみましょう。鍵の修理サービスの顧客は、鍵をなくした人や鍵が開かなくなってしまった人ですよね。
顧客が男性か女性か、年齢が20代か30代か、というようなことはそれほど関係がありませんね。
皆さんのほとんどは、顧客ではありません。普段の生活でニーズを感じることはないでしょう。しかし、ひとたび鍵をなくせばそれらの人もいつでも顧客になり得ます。
一般的に、このようなサービスのデジタル・マーケティングを行う場合、リスティング広告(検索連動型広告)が利用されます。「鍵 なくした」などと検索したユーザーに対して広告を出す方法です。
ニーズは、濃ければ濃いほどすぐに販売につながるため、一般にこのようなキーワードはクリック単価がかなり高額になります。

需要はどうやって調査する?

需要を調査するもっともわかりやすいやり方は、検索エンジンを利用することです。
例として、男性向けのプレゼントを探す通販サイトをはじめるとします。
検索数を診断するサービスはいくつかありますが、まずはキーワードプランナーを紹介します。これは、Googleオフィシャルツールであるため正確ですし、検索数が小さなキーワードでも概算の数値を提供してくれるという利点があります。
キーワードプランナーとは Googleがオフィシャルに提供している、広告運用向けのキーワード検索数の推定ツール。おおまかな数値しかわからないのが欠点です。 Google 広告への登録が必要です。
一方、あくまで概算値でしかないため、「1-10」「10-100」「1,000-1万」「1万-10万」といった、ざっくりした数値でしか表示ができない、という使いづらい点もあります。
たとえば、キーワードプランナーで「男性 プレゼント」で調べてみましょう。1万〜10万回程度、月間に検索されていることがわかります。
 キーワードプランナーではおおまかな検索数しか調べられないため、もう1つ、非公式のツールを紹介しましょう。
Moz Keyword Explorer アメリカのSEO企業、Moz社が提供しているツールです。
Keyword Explorerでは、キーワードプランナーよりも詳細なキーワードボリュームや、CTR(クリック率)などを計算することができます。ただし、公式サイトではないため不正確である可能性がある他、小さなキーワードではほとんどデータが出てこIない、という点に注意が必要です。
Keyword Explorerによると、「男性 プレゼント」は1万1,500〜3万300の検索数があることがわかります。
「男性が喜ぶプレゼントが知りたい」「男性に喜んでもらえるプレゼントを買いたい」というニーズは一定程度ある、ということになるかもしれません。
サービスをはじめる前の事前調査、そしてどの既存のニーズを取りにいくか?という検討は、非常に重要なデジタル・マーケティングのプロセスです。
すでに事業をはじめている方でも、この点をしっかりと再検討すれば、よりマーケティング戦略が作りやすくなる、ということを頭に入れてもらえればと思います。
最終更新 19d ago