Attention(顧客の注意を引く)
「好きの反対は無関心だ」という言葉があるように、まず関心を持たれなければいけません。では、いかにしてあなたの商品は顧客に届くのでしょうか?

広告を出しても見られていない?

心理学者のティモシー・ウイルソンは、「適応的無意識」という概念を提唱しました。彼によると、人間は1,100万ビットの情報を処理していますが、そのうち意識的に処理しているのは40ビットしかありません。
オリコンの調査によると、20~50代のサラリーマンがスマートフォンやPC、テレビなどのディスプレイを見ている時間は、平均で11時間にも及びます。起きている時間のほとんどは、ディスプレイに向かっていると言っても過言ではないのです。
私たちは、日々大量の情報にさらされています。だからこそ、いかに顧客の注意を引き、関心をもたせるか?という問題は、デジタル以前の時代よりもはるかに重要になります。
アメリカの調査会社、Harris Interactiveの調査によると、63%がインターネット広告を無視し、43%がバナー広告を無視し、20%の人は検索エンジン広告(20%)を無視すると答えています。
これは、テレビ広告(14%)、ラジオ広告(7%)、新聞広告(6%)よりもはるかに大きな数字です。デジタルにおいては、あまりに情報が多すぎるのです。
20世紀のマーケティングは、もう少しシンプルでした。多くの中小企業にとって、マーケティングとは縁遠いもので、広告といえば、新聞、雑誌、ラジオ、テレビくらい。
テレビに流せば絶大な影響力があるものの、その他の手段は限られている。そんな時代の方程式は、以下のようになります。
知名度(CM出稿量) × 好感度
つまり、可能な限り多く出稿して、後は万人受けするような商品を作る、という大量生産(マス・プロダクション)の手法です。しかし、情報量が増えてしまった現代においては、すでにこのような方程式は成り立たなくなっています。
万人受けするものを作っていても、顧客が気にも留めない商品であれば、知名度が上がることもありません。「炎上マーケティング」と言われるように、多少物議をかもしても知名度を上げさせる手法が台頭した理由はその点にあります。

クリエイティビティと顧客の注目

ここで少し歴史を振り返りましょう。
日本でももっとも古い広告は、引札と呼ばれるチラシ広告だと言われています。浮世絵衰退以降、江戸時代から大正時代にかけて様々な美しい引札が作られました。
新聞広告が生まれるまで、商人にとってチラシ広告は唯一の宣伝手段であり、クリエイティビティを発揮できる唯一の機会だったのです。
広告クリエイティブは、顧客の注目を引くために極めて重要です。だからこそ、歴史的に様々な工夫がこらされてきました。
デジタル・マーケティングにおける広告クリエイティブは、技術的な進化と並行して進化してきました。
かつては通信が安定していなかったため、テキストが中心でした。そこから画像のクリエイティブが主流になり、動画へと移行していきます。
さらに、PC環境だけではなく、スマートフォンが中心になり、4Gの普及によって、スマートフォンやタブレットでも簡単に動画が楽しめる環境になりました。
私たちが目にするものはより多彩でリッチになり、その中でより目を引くためには、クリエイティブもより複雑化していく必要があります。
「目」の写真は人の行動を変える?
クリエイティブによって人の行動すら変わってしまう例を1つ紹介しましょう。
ニューカッスル大学の研究チームで行われた調査によれば、人間の目が写されたポスターを見たグループは、そうでなかったグループに比べて寄付する確率が上がったことがわかりました。
それだけでもなく、ゲーム中により寛大に振る舞う行動が増えたり、大学のキャンパスでポイ捨てを減らす効果があることもわかっています。

視線の流れを理解する① - Zの法則

ここからは、ユーザーの注意を引くために、人間の視線の流れについて法則を学んでいきましょう。
たとえば広告などを出す際にも、どのポジションに広告を配置すればいいか?ということが重要になってくるからです。
昔から印刷業界やWeb業界でよく使われる言葉に「Zの法則」というものがあります。これは、以下のようにZを描きながら、人間の視線が移動するという法則です。
スクロールする場合、Zを描きながらジグザグに進んでいきます。
この法則は、特に論文などで立証されているわけではありませんが、広く日本、そして海外で用いられているものです。

視線の流れを理解する② - グーテンベルク・ダイアグラム

グーテンベルク・ダイアグラムは、かなり古くから使われている欧文書体での人間の視線の動きです(日本の書籍は縦書きになるため、この法則が上手く当てはまるかはよくわかりません)。
視線は、左から右に流れていきますが、情報としては水平運動を繰り返しながら少しずつ移動していきます。つまり、右上や左下にある空白領域の情報は、一定程度読み飛ばされているというのがグーテンベルク・ダイアグラムの基本的な考え方です。
これも、学術的に検証されたものではないですが、Zの法則や、後のFの法則などともある程度重なる部分があります。人間はそれほど多くの情報をきちんと読んでいるわけではない、というのがおわかりいただけるのではないでしょうか。

視線の流れを理解する③ - Fの法則

ヤコブ・ニールセン教授が、232人のユーザーを対象に行った調査によると、ユーザーがWebページを見るときは、Fを描くように見ていることがわかりました。
①ユーザーは、まず、コンテンツ領域の上部を横切って水平に視線が移動します。
②次に、ページを少し下に移動し、少し短く水平方向に視線を移動させます。
③最後に、ユーザーは、コンテンツの左側を素早く垂直方向に見ます。これは、素早いスキャニングで、全てを見ているわけではありません。
ニールセン教授は、ユーザーは、テキストを単語ごとに完全に読むことはなく、最初の2つの段落で、もっとも重要な情報を述べなければならない、と看破しています。
また、2017年にパーニス教授らによって行われた追跡調査によると、Fの法則以外にも、様々な形のスキャニング(視線移動)が存在するということがわかっています。
Fの法則でユーザーがコンテンツを閲覧することは、ビジネスにとってマイナスであるので、そのようなデザインを避けるべきだとも述べています。
モバイルでは、ユーザーがほとんどのコンテンツを閲覧するような視線移動も起こるものの、そのようなケースは極めて稀であるということです。
最終更新 19d ago