リスティング広告の基礎
ここからは広告について解説していきます。はじめは、リスティング(検索連動型)広告です。中小企業にとっても利用しやすく、パフォーマンスも上がりやすい広告手法ですが、どのような点に気をつければよいのでしょうか?

Google 広告とは

Googleが提供する、リスティング広告を含めた総合的な広告プラットフォーム。リスティングとGDN(Google Display Network)、YouTube、Android Play Store広告などが利用できます。
Google検索の他に、Google Search Partnerとして、Goo、AOL、Excite、Askなどの検索サイトにも出稿可能です。
Google 広告

Yahoo!プロモーション広告

Yahoo!が提供する、リスティングを含めた広告プラットフォーム。Yahoo!の検索自体はGoogleのアルゴリズムを利用しているので、Yahoo!を利用しても一定額をGoogleにマージンとして払っているのが実情。
YDN(Yahoo Display Network)などにも出稿可能です。
Yahoo! 検索広告

検索連動型広告の誕生

Googleが誕生して数年間、Googleは赤字でした。彼らはエキサイト社に自分たちの検索エンジンを売却しようとしましたが、成功しなかったほどです(彼らは後に大きく後悔することになったでしょう)。
収益化を可能にしたのは、検索エンジン連動型広告の誕生です。世界最大の検索エンジン連動型広告であるGoogle AdWordsは、アメリカだけで285億ドルもの収益を1年に生んでいると推計されています。
これはアメリカの検索連動型広告の収益における77%にのぼり、競合のMicrosoft Bingの10倍近い数字です。圧倒的なほどの独占市場と言えるでしょう(実際、独占禁止法の対象になりかけたこともあります)。
リスティング広告は、ユーザーの検索行動に合わせて広告が表示されるため、広告だと思わないままクリックしている人もいます。たとえば、ショッピング広告などは、一見自然に出てきた検索結果のようにも見えるのではないでしょうか(図6-1)。
このような、ユーザーへの利便性こそ、リスティング広告を大きく押し上げた要因と呼べるでしょう。
GoogleやYahoo!には、無料の自然検索(オーガニック)だけではなく、有料の広告枠があります。
この広告は、ユーザーが検索した内容に合わせて広告を表示するのでユーザーにとっても利便性が高く、さらに企業にとっては、見込み顧客に近いユーザーにアプローチできるため、大変強力なツールとなりました。
また、Googleにとってもこの広告形態は都合がよいのです。オークション形式で、需要が高いものには高いクリック単価を付けられるため、単なるバナーよりもはるかに「稼げる」広告商品となりました。
キーワードプランナーを使えば、1クリックあたりの推定の単価が調べられます。
これは、実際に調べてみた際の主な高額キーワードです。
キーワード
推定の月間検索数
推定の1クリック単価
転職
10万-100万
¥1,199
カード ローン
1万-10万
¥4,468
不動産 投資
1万-10万
¥1,279
脱毛
1万-10万
¥1,700
1件あたりの単価が高いものだと、1クリックが高額になることもありますが、これはごく一部で、多くのキーワードは50~200円くらいに収まります。

業界平均と比べてみよう

クリック率やコンバージョン率は、業界や商材によって全く違います。ですから、一概に平均や目標は言えません。もっとも優れた方法は、競合を知り競合の分析をすることです。
こちらは、Wordstream によるアメリカにおけるカテゴリごとのクリックデータですが、クリック率の違いをご理解いただけると思います。
Industry
平均CTR(検索)
平均CTR(ディスプレイ)
政治
1.72%
0.52%
自動車
2.14%
0.41%
B2B
2.55%
0.22%
消費財
2.40%
0.20%
オンラインデート
3.40%
0.52%
Eコマース
1.66%
0.45%
教育
2.20%
0.22%
人材・転職
2.13%
0.14%
お金・保険
2.65%
0.33%
健康・医療
1.79%
0.31%
家具
1.80%
0.37%
製造業
1.40%
0.35%
法律
1.35%
0.45%
不動産
2.03%
0.24%
テクノロジー
2.38%
0.84%
旅行
2.18%
0.47%

なぜGoogle 広告は検索連動型広告の覇者となったのか

Google 広告は、世界で最初の検索エンジン連動型広告でしょうか? 違います。Overture(現Yahoo!スポンサードサーチ)は、AdWordsより前に存在していました。
なぜGoogle 広告は世界で支配的な検索連動型広告になれたのでしょうか。その理由の1つは、オークションモデルです。
全米経済研究所の調査によると、Overtureが1997年当時に採用したファーストプライスオークションと呼ばれるオークションモデルには大きな問題がありました。
このとき作られたモデルは、もっとも高い金額を付けた広告主がその検索キーワードに対する枠に広告を出稿できるというものです。
しかし、この単純なオークションモデルには大きな問題がありました。たとえば、1つのキーワードを100円で入札できたとし、競合は80円で入札していたとします。当然ですが、100円で入札したユーザーは、より低い金額で入札しようとチャレンジをします。つまり、常に価格に対して下方圧力が働き、金額が安定しないのです。
それに対して、Google AdWordsが2002年に採用したセカンドプライスオークション(Overtureも後に採用することになりますが)は、自分の入札金額ではなく、自分よりも低い順位(i+1)の単価を採用しています。
先ほどの例で言えば、100円で入札した広告主が支払う金額は80円です。100円で入札しようが、90円であろうが、あるいは150円であろうが、広告主の支払う金額は変わりません。この仕組みは、ユーザーにとっても安心であるだけでなく、実際には収益も大きくなることが研究によってわかっています。
 もう1つの大きな要素は、品質スコアの採用です。これは、広告がユーザーにとって効果的であるかをオークションの要素に入れるというもので、これによって広告自体を顧客にとってよりよいものにするインセンティブを作ることに成功しました。

SEOとリスティング広告の違い

短期間で流入をコントロールできる

すでにSEOについて考えてきた皆さんからすれば、リスティング広告はそれほど難しくないはずです。なぜなら、どのようなキーワードが重要か? どのようなキーワードを重視すればいいか?という点についても、ある程度地図があるからです。
大きく違う点は何でしょうか? それは、リスティング広告は収支の計算さえつけば、ある程度短期間で効果を上げることが可能であるということです。
検索トラフィックを増やす、ということでSEOの施策を行っても、効果の保証はありませんし、効果が出るまでにはある程度の時間がかかります。
 しかし、リスティングであれば、費用さえ増やせば流入は増やせます。CPA(コンバージョン単価)やROI(投資対効果)さえあえば、すぐに費用を拡大し、コンバージョンを増やすことも可能です。

広告文とLPをコントロールできる

SEOとリスティングは、基本的な考え方は共通しています。つまり、需要があるキーワードを探し、それに対して広告を配信する、ということです。
もっとも大きな違いは、リスティング広告は、より柔軟にユーザーの誘導が可能だということです。
たとえば、花の通販サイトのケースで考えましょう。母の日に合わせて、特設ページに誘導したいとします。
もし検索エンジンで「母の日 プレゼント」というキーワードに対して、特設ページに誘導しようとすると、それなりにコンテンツを作り込み、リンクを仕込まないと難しいでしょう(Part 4でも述べましたが、PLPと呼ばれる重要概念です)。
実際、特設ページに誘導しようとしても、コンテンツがしっかりしていないと、トップページのほうが上に来てしまう可能性もあります。
検索エンジンはコントロールできないため、それほど柔軟な運用はできないのです。
それに対して、リスティング広告であれば、ワンクリックでどこに顧客を誘導するか、変更することができます。
ボリュームの少ないキーワードにリスティングを利用した実例
Googleの日本法人が、AdWordsの利用者増加のために行ったキャンペーンを紹介します。
そのキャンペーンは、様々な企業に鍵のかかった箱型のDM(ダイレクトメール)を送り、特定のキーワードを検索してもらうことで、その鍵を開ける暗証番号を手に入れられる、という仕組みでした。
当然、そのキーワードに対してAdWordsの広告を配信していますので、実際にAdWordsの検索がどのように機能するかわかるのです。
このように、あまり検索されてないキーワードをフックにして、テレビCMやDMと連動するという手法は、度々使われています。

「広告主=お客様」になる

SEOに関しては、検索エンジンとWebサイトの目指すことは一緒です。つまり、ユーザーにとってよりよいサイトを作ることが、検索エンジンに評価される道でもありますし、そのために検索エンジンは日々進化しています。
しかし、こと広告になれば違います。当然、Yahoo!やGoogleにとってのお客様は広告主である皆さんです。油断していると効果が低いのにお金を出すことになってしまいかねません。
近年、アプリ向けのキャンペーンなどは設定項目が極端に少なくなるなど、徐々にチューニングすることの重要性が薄まってきましたが、通常の検索キャンペーンであれば、まだまだ日々のチューニング・カスタマイズが重要です。
ブランドキーワードには出稿したほうがよい?
会社名やサービス名などのブランドキーワードに、わざわざ広告を出稿するかどうかは、ある意味「永遠の課題」です。
当然、ブランドキーワードであれば自然検索で1位が取れているので、とくに出稿する必要性がなさそうも見えますが、競合他社が出稿することも違法ではない(ただし揉めるのでおすすめしません)ため、防衛的に出稿するケースが多いようです。
2012年のGoogleの調査によれば、自然検索で1位にある場合でも、広告の66%のクリックは増加分であり、広告を止めた場合、その半分のクリックは獲得できなくなってしまう、ということです。
また、アメリカの代理店である3Q Digitalの調査によれば、ブランドキーワードで広告を掲載した場合、しなかった場合と比べクリック数が153%に上昇しました。
最終更新 2mo ago